KAWASAKI Z1/Z2を形作る部位について【ブレーキ キャリパー編】
第九回はカテゴリ【ブレーキ】にあたる部位のフロントブレーキのキャリパーについて。
オートバイにおける制動装置とは、運動エネルギーを摩擦によって熱エネルギーに変換し、車輪の動きを止める装置です。
Z1/Z2のフロントブレーキは油圧式を採用しており、ABS装置の有無等はありますが構造としては現在新車販売されているモデルと大差はありません。
油圧式ブレーキでは大まかに3パーツに分かれます。
1.ブレーキキャリパー
2.マスターシリンダー
3.ブレーキホース
今回はZ1/Z2のブレーキキャリパーを構成するパーツについて迫っていこうと思います!
《Z1/Z2 STDキャリパー(左側サポート付)》 |
Z1/Z2のSTDはご存じの通りシングルディスクです。
キャリパーは左側のみとなり、右側はダストカバーで覆われていますが、ダブルディスク化することも可能です。
ダブルディスク仕様
ダブルディスク化については追って記事をアップしようと思っておりますので、乞うご期待!
キャリパーは本体とサポートの3ピース構造となり2本のスライドボルトで固定されます。
サポートがフロントフォークボトムケースに固定され、キャリパー本体がスライドボルト上をフローティングする構造です。
サポートの左右に装着されるブーツが劣化してしまうと、スライドボルトの潤滑が失われてしまったり、ボルト自体が水分によって錆びてしまったりします。
スムースなサポートの動きが無いと、ブレーキパッドの片減りや、ブレーキの引きずりを起こしてしまいます。
《Z1/Z2 STDキャリパー用スライドボルト(2本セット)》
左側:新品 右側:純正取り外し
ブレーキパッドの残量も定期的に確認が必要です。
《Z1/Z2 フロントブレーキパッド》 |
前述のスライドボルトの動きが悪いと、パッドの片減りを起こしてしまうことがあるので、残量を確認する際には注意したいところです。
キャリパー裏側のパッドはビスにて固定されます。
《Z1/Z2 STDキャリパー (リペアパーツ:12)パッドマウントボルトセット)》
ピストンのチェックをしてみましょう。
このキャリパーのピストンは錆が出てしまっています。
こうした錆は当然ピストンシールのシール性を落としてしまうため、ピストンそのものの交換が望ましいところです。
シールやブーツ、Oリング等のゴム類は分解時に必ず交換です。
Z1/Z2 PMCキャリパー専用ピストンダストブーツ(STDキャリパー使用不可)
共振音、通称“鳴き”が著しい場合はパッド裏にシムをセットするのがおすすめです。
2枚重ねで使用し、パッド同士の間にはブレーキラバーグリスを薄く塗布すると効果的です。
《Z1/Z2 ブレーキパッドシム》 |
ブリーダーバルブも長年使用していると内部の通路が詰まってしまうことがあります。
錆も発生しやすいので交換しておきたい部品です。
その他リペアパーツも準備しているので、オーバーホールの際は細かい部品は新調しておきたいですね。
またキャリパー本体の劣化が進んでいる場合は、潔くキャリパー本体を新調するのも有効な手です。
ブレーキは重要保安部品ですので、組み付けの際は注意を払って、動作確認を必ず行ってから実走行を行う必要があります。
次回はブレーキ関連のマスターシリンダーについて迫っていきますので、乞うご期待!